こんにちは。
鈴木(晴)です。
北海道ではまだまだ肌寒く私は毛布を被って寝る日もありますが、東京ではすでに半袖で過ごせるほどの気温まで暖かくなっていることでしょう。
これから到来する夏の暑さを思い出し辟易とします。
こと、スーツに於いてはうだるような暑さと湿気の中でいかに「涼しく」、かつ「品格」を保つか。
これは古来より紳士たちを悩ませてきました。
そこで今回スポットを当てるのが、夏の定番素材「シアサッカー(Seersucker)」です。
もともとはインドを起源とするこの生地は大英帝国時代の英国紳士たちによって洗練され、世界中のサマースタイルのスタンダードとなりました。
しかし、一歩間違えると「子供っぽく」あるいは「パジャマのように」見えてしまうのがシアサッカーの難点でもあります。
本日は、英国スタイルの伝統的なデザインと着こなしをベースにシアサッカースーツについて深掘りしていきます。

1. シアサッカーの起源と英国紳士の愛着
シアサッカーという名は、ペルシャ語で「ミルクと砂糖」を意味する「shir-o-shakar」に由来します。
滑らかな部分(ミルク)と凹凸のある部分(砂糖)が交互に並ぶ独特の質感を、英国の商人が持ち帰ったのが始まりです。
・肌離れの良さ:独特のしぼ(凹凸)が肌との接地面を減らし、風を通す。
・防シワ性:もともとしぼがあるため、座りシワや腕のシワが目立たない。
・アイロン不要の美学:トラベルスーツとしての側面も持ち、旅先での社交に最適。
これらの理由から英国紳士の間で長く愛されることとなります。
2. 英国スタイルとしての「デザイン」のこだわり
英国の仕立て屋がシアサッカーを仕立てる際に最も大切にしているのは「構築的なシルエット」です。
イタリアンスタイルでは、裏地や芯地を全て省いた「アンコン(非構築)仕立て」が主流です。
しかし、あえて薄手の肩パッドや毛芯を薄く入れることをお勧めします。
なぜなら、シアサッカーは非常に軽く柔らかい生地であるため、仕立てが甘いとカジュアルになりすぎるからです。
肩のラインをしっかりと保つことで、夏素材でありながら「正装感」を失わない一着に仕上がります。
3. 色選び
シアサッカーといえば、白とブルーのストライプが最も有名ですが、英国紳士のワードローブにはより深みのある選択肢が存在します。
・ネイビーのソリッド(無地)
遠目には普通のネイビースーツに見えながら、近づくとシアサッカー特有の凹凸がある。
この「さりげなさ」こそが英国流の「アンダーステイトメント(控えめな表現)」です。
・ブラウン×ベージュのストライプ
カントリーサイドの雰囲気を残しつつ、都会的でモダンな印象を与えます。
4. 着こなしの極意
シアサッカースーツを、単なるカジュアル着に終わらせないためのルールがあります。
①シャツ:リネンではなく、あえて「ブロード」
生地そのものに表情があるシアサッカーには、あえてキメの細かいブロード(ポプリン)のシャツを合わせるのが英国流です。
コントラストをつけることで清潔感とドレス感を強調します。
襟型はワイドカラーか英国らしいピンホールカラーでタイドアップを。
②ネクタイ:ニットタイの魔法
シアサッカーにはニットタイが最高に合います。
シルクの光沢を抑えたマットな質感のネクタイは、Vゾーンに季節感と軽やかさをもたらします。
色はネイビーやワインレッドなど、落ち着いたトーンを選びましょう。
③ シューズ:白のバックスキンか、茶のローファーか
足元は、夏の英国スタイルの象徴である「ホワイトバックス(白の起毛革)」、あるいは「ダーティバックス」が理想的です。
ビジネス寄りに振るならば、ダークブラウンのタッセルローファーやスエードのチャッカブーツも相性が良いでしょう。
5. 「サイズ感」の重要性
シアサッカーは、サイズが大きすぎると一気に「だらしなく」見えてしまいます。
特に、パンツのシルエットには細心の注意が必要です。
・パンツの丈:クッション(裾のたわみ)をほとんど作らない「ノークッション」が基本。
・ダブルの裾:ダブルで裾に重みを持たせることで、軽い生地でも綺麗なドレープ(落ち感)を保ちます。

(引用:http://giantbeard.tumblr.com)
日本の酷暑の中でも汗を感じさせず涼しげな顔で英国伝統のシルエットを纏う。
その余裕こそが、シアサッカースーツが提供する真の価値です。
今季は是非シアサッカースーツで優雅に過ごしてみてください。
札幌パルコ店 鈴木(晴)



