皆さんこんにちは、GINZAグローバルスタイルグランフロント大阪店の北邑です。
今回はスラックスの裾口についてお話します。
裾口の折り返し「ターンナップ・カフ」とは

※左シングル 右ダブル
スーツのスラックスの裾に見られる折り返し。正式には「ターンナップ・カフ(turn-up cuff)」と呼ばれます。日本では古くから「カブラ」と呼ばれていますが、この呼び名には少しユニークなエピソードが残されています。
洋服が日本に伝わった当時、裾の折り返しについて西洋人に尋ねたところ、返ってきたのは「ターンナップ」という言葉。しかしそれが「ターニップ」と聞き間違えられてしまいます。その意味を調べると、「ターニップ=蕪(カブラ)」ということが分かり、そこから裾の折り返しを「カブラ」と呼ぶようになったと言われています。
まるで冗談のようですが、実際に語り継がれているエピソードです。
ターンナップ誕生のきっかけ
裾の折り返しが生まれたのは、1895年頃または1903年頃とされ、いくつかの説があります。
中でも有名なのが、ある英国貴族がニューヨークの結婚式に向かう最中、雨による泥はねを避けるためにスラックスの裾を折り返した、という話。それを見たアメリカ人が「イギリスではああいう着こなしをするのか」と取り入れ、やがてスタイルとして定着していったと言われています。
フォーマルではなぜNGなのか?
ターンナップは、もともと実用的でカジュアルな場面から生まれたディテール。そのため、モーニングやタキシードといったフォーマルウェアでは使用されません。これらの正装では、裾は折り返さない「シングル仕上げ」が基本となります。
シングルかダブルか?選び方の考え方
スーツを仕立てる際、多くの人が悩むのが「シングルにするか、ダブルにするか」という点ではないでしょうか。
私のオススメはシンプルです。
・フォーマル・礼服→シングル仕上げ
・それ以外のスーツや私服用途→ダブル
ダブルをおススメする理由
その理由は、時代によるシルエットと生地の変化にあります。かつてのスーツは生地が厚く、トラウザーズの裾幅も広めでした。そのため、シングル仕上げでも足元に十分なボリュームがあったのです。
しかし現代では、生地は軽く薄くなり、シルエットも細身が主流。この状態でシングル仕上げにすると、足元が軽く見え過ぎてしまい、全体のバランスが崩れがちです。
結果として、上半身だけが強調され、どこか頼りない印象になってしまうことも。だからこそ、適度な重さと存在感を出せるダブル仕様が有効なのです。
まとめ 裾で変わるスーツの印象
裾の仕様は、ほんの小さな違いに見えて、全体の印象を大きく左右する重要なデティールです。
フォーマルにはシングル、日常の装いにはダブル。この基本を押さえつつ、自分の体形やスタイルに合わせて選ぶことが大切です。
スーツは細部にこそ美学が宿るもの。裾の仕上げにも、是非こだわってみてください。