こんにちは、GINZAグローバルスタイルグランフロント大阪店の北邑です。
今回はシャツについてお話します。
シャツの原点は、いつの時代も白です。
最も汚れが目立つ白を清潔に保つことーそれこそが紳士の身だしなみだとされてきました。
「ホワイトカラー」という言葉も、ここに由来しています。白いシャツを美しく着続けることは、単なる服装ではなく、”姿勢”そのものだったのです。
柄シャツは”成り上がり”の象徴だった?
20世紀初頭の服飾専門化は、こんな言葉を残しています。「縞模様や色付きのシャツを着る者は、成り上がりものと思って間違いない」
現代の感覚からすると驚きですが、当時は白シャツこそが唯一無二の正装でした。ストライプなどの柄シャツが登場したのは、1870年代。「レガッタシャツ」と呼ばれ、あくまでカジュアルな位置づけで、ビジネスには不向きとされていました。
「汚れが目立たないから柄を着る」という考え自体が、都会のビジネスマンには受け入れられなかったのです。
柄シャツが許された”条件”とは
1876年のエチケットブックには、次のように記されています。
「縞柄のシャツが汚れを隠すといういうのは誤りであり、嗜みのある男性には不要である」
しかし時代は徐々に変化します。襟とカフスを白無地にすることで、ようやく柄シャツがビジネスシーンでも認められるようになりました。これが現在でも見られるクレリックシャツの始まりです。
シャツの進化 被る服から前開きへ
かつてのシャツは、今のように前を釦で開ける形ではなく、頭からかぶる「プルオーバータイプ」が主流でした。現在のように前開きのシャツが普及したのは、1871年以降と言われています。ここから、着脱の利便性が大きく向上しました、
前立ての違いで変わる印象
シャツの前立てには、大きく分けて2種類があります。
■プレインフロント(裏前立て)
前立てが表に出ない仕様で、すっきりとした印象。ドレスシャツに多く見られる、洗練されたデザインです。
■ブラケットフロント(表前立て)
前立てを折り返してステッチを入れた仕様。ややカジュアルで、構築的な印象になります。現在は裏前立てが主流ですが、表前立てはアメリカントラッドのスタイルでよく見られます。
例えば、ブルックスブラザーズやJ.PRESS、ポロラルフローレンといったブランドが代表的です。
剣ボロボタンの正体
袖口近くについている小さなボタン。正式にはガントレットボタンと呼ばれます。
もともとは袖を軽く折り返した際に固定するための機能でしたが、現在ではその用途はほとんどなく、ディテールとして残っているのです。
この背景から、考えると、剣ボロのボタンはあえて留めずに開けておく方がスマートとも言われます。
まとめ シンプルなシャツに宿る美意識
一見シンプルに見えるシャツですが、その背景には長い歴史と明確なルールが存在します。
白を基本とする理由、柄の意味、ディテールの役割。それらを理解することで着こなしは一段と深みを増します。
”ただ着る”から”理解して着る”へ。
それが、紳士の装いの第一歩なのです。