こんにちは。
鈴木(晴)です。
これから新社会人、リクルート用としてのスーツ需要が高まってきます。
先日の袖釦に続いて悩みがちなのがベント(切れ目)です。
ここは着用環境や体型によって相性があります。
誕生した背景や歴史を踏まえてご紹介します。
ベントの誕生
紳士服が着られるようになって100年余り、様々な経緯を経て現在の形になりました。
私のブログでは何度かお話ししていますが、スーツは貴族が着ていた洋服から派生しています。
当時のジャケットは後ろ丈が長く、呼び方もコートと呼ばれていました。
乗馬を嗜むことも教養の一つとされていて、後ろ丈の長いコートでは支障をきたすため中央に切れ目を入れたというのがベントの始まりとされています。
ベントと呼ばれる切れ目は大きく分けて
・センターベント
・サイドベンツ
・ノーベント
・フックベント
の4種類があります。
センターベント
前述のとおり貴族たちが乗馬をする際にジャケットの裾が邪魔で窮屈だったことから中心に切れ目を入れて機動性を確保したのが起源と言われています。
既製服のほとんどがこのセンターベントで作られており、細見のスーツや丈の短いイタリア系のスーツによく合います。
現代人の半分くらいはお尻が大きい体型をしています。
そんな人がこのセンターベントを選ぶと切れ目が割れてしまうので注意しましょう。

サイドベンツ
腰にサーベルを携える際、裾が持ち上がってしまうためにサイドに切れ込みを入れて剣の通り道を作り、美しいシルエットを保ったのが発祥と言われています。
現代では裾が美しく広がりウエストをシェイプすることでアワーグラス(砂時計)のようなシルエットになることから、英国仕立てのスーツによく選ばれます。
お尻が小さい人、フロント釦を留めずに着用する人は裾が横に広がってしまうため注意が必要です。
また、ダブルブレストのスーツも基本的にはこのサイドベンツであることがほどんどです。

ノーベント
切れ目が一切入っていないデザインで、最もフォーマルと言われています。
タキシード(ディナージャケット)にも使用されています。
ウエストを細めたい、タイトなサイズ感で着たい人はこのノーベントにすると腕が上がりづらく窮屈な着心地になるので注意が必要です。
近年ではオーバーサイズのジャケット等カジュアルな用途でも使用されてきました。

フックベント
モーニングコートやアイビースタイルでよくみられるクラシックなデザインです。
センターベントの派生で、切れ目の始まり部分がかぎ型になっています。
なかなか選ばれることがない現代では珍しめのデザインです。

動きやすさや座った時の皺のなりにくさから私はサイドベンツwお勧めすることが多いです。
是非店頭でスタッフに聞いてみて下さい。
札幌パルコ 鈴木(晴)



