たまに見かける「ナイロン○○%」
スーツやジャケットの生地表示を見ていると、ウールやコットンに混じって「ナイロン○%」と書かれていることがあります。ナイロンと聞くとスポーツウェアやアウトドア素材を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、実はオーダー服地の世界でも重要な役割を担っています。
ナイロンはどういう役割?
ナイロンは「軽さ」「強度」「耐摩耗性」「光沢感」を持つ繊維です。これを少量混ぜることで、本来は耐久性が高くない繊細な原毛やふっくらとした織り、特殊な立体感を持つ生地に耐久性を与えられます。つまり、ナイロンは主役ではなく“縁の下の力持ち”。生地の美しさを長持ちさせるために欠かせない存在なのです。
生地紹介
1.ふっくらとしたフェルラのジャケット生地

ウール68%・アルパカ25%・ナイロン12%・ライクラ1%
フェルラらしいふっくらとした風合いを持つジャケット生地。アルパカの柔らかさとウールの暖かさを活かしつつ、ナイロンが繊維を補強し、毛羽立ちや摩耗を防ぎます。さらにライクラが加わることで、着心地に伸縮性が生まれ、日常使いでも型崩れしにくい仕上がりです。
2.ライトメルトンのコート生地

ウール(Super140)70%・ナイロン30%
Super140の極細ウールを使ったライトメルトンは、非常に繊細で柔らかい原毛が特徴です。しかしそのままでは摩耗に弱く、耐久性に課題があります。そこでナイロンを30%も混ぜることで、軽さを保ちながら強度を確保。結果として「上質なのに日常使いできる」メルトン生地が完成します。普通のコート生地より厚みもあり、寒がりの方に最適です。
3.独特な立体感を持つカノニコのブークレ生地

ウール40%・コットン45%・ポリアミド(ナイロン)15%
ブークレ特有のループ状の糸が立体感を生み出すカノニコのジャケット生地。柔らかいウールとコットンの組み合わせは見た目に豊かな表情を与えますが、摩耗や引っ掛かりに弱いという弱点があります。ここでナイロンが加わることで、ループの形状を安定させ、立体感を長く保つことが可能になります。デザイン性と耐久性を両立させた好例です。
ふわっとした生地にはナイロンが入っていることがあります。それは
「ふわっとしているのに耐久性がある」
という証であり、コストパフォーマンスの面でも優秀です。気になる生地にナイロンが含まれていたとしても、それはコストダウンしようという意図ではなくて、その風合いと耐久性を両立させる意図で配合されています。安心してナイロン入りの生地を選んでください。

GINZAグローバルスタイル銀座5丁目店
小松



