こんにちは。
鈴木(晴)です。
最近、久しぶりに仮面ライダーWを見直していると、主人公の師匠ポジである鳴海壮吉のスーツが目に入りました。
主人公左翔太郎はフォーマルアイテムをカジュアルダウンしたファッションということで覚えていたのですが、他は案外忘れていました。
今回は仮面ライダーWに登場する『鳴海壮吉』のスーツについて解説します。

(引用:https://www.kamen-rider-official.com/zukan/characters/2822)
仮面ライダーWとは
2009年から2010年にかけて放送された仮面ライダーで、平成シリーズにおいては11作目です。
平成仮面ライダーはシリアスでダークな雰囲気の第一期とコミカルな中にしっかりとしたテーマを持つ第二期に分かれます。
簡単に言うと、一応子供も楽しめるけどストーリーはほぼ大人向けに作られたのが一期。
子供も見れて、大人になってから見ると物語の深さに気が付くのが二期という感じです。
この仮面ライダーWは平成二期の第一作目です。
コミカルな描写とシリアスな展開のバランスが非常によくできており、放送終了後も続編が作られていたりと今なお根強い人気を誇ります。
今回紹介する鳴海壮吉はそんな仮面ライダーWの主人公の一人、『左翔太郎』が師事した私立探偵として登場します。
本編が始まる10年前から仮面ライダースカルとしてガイアメモリから風都を守ってきました。
本編開始時では既に死亡してしまいますが、ストーリーの重要なカギを握るキャラクターでもあります。
『いかなる事態にも冷静さを保ち、自らの感情を押し殺しても為すべきことを為す』というハードボイルドを信条としています。
自身の生き方や行動にかなりのこだわりがあり、例えばコーヒーを入れるのもコーヒーメーカーを使わずフライパンで豆を煎るところから始めます。とはいえ失敗することも多く、豆を焦がして相棒にあきれられていました。
帽子に対してもこだわりがあり、仮面ライダースカルに変身する際は一度帽子を脱いで変身完了したらかぶりなおすといった徹底ぶりです。
これは「男の目元の冷たさと優しさを隠すのが帽子の役目」という考えからで、半人前だった左翔太郎が帽子をかぶるのを認めないほどでした。
尚、鳴海壮吉のセリフの中で「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」というものがあります。
これはコードギアスが元ネタだと勘違いしている人が多いですが、実際はアメリカのハードボイルド小説の主人公『フィリップ・マーロウ』のセリフから来ています。
鳴海壮吉はフィリップ・マーロウの小説を愛読しており、もう一人の主人公の名前である「フィリップ」はここからとられています。
好きな小説のセリフを引用するといった茶目っ気ある一面も鳴海壮吉の魅力の一つです。
鳴海壮吉のスーツ
鳴海壮吉は非常に特徴的なスーツを着ています。
真っ白なスーツを黒シャツといったマフィアややくざ映画で見るような装いですが、そんな犯罪者共と一緒にしては失礼なほど渋く着こなしています。

(引用:https://www.kamen-rider-official.com/zukan/characters/2822)
まずスーツ全体の雰囲気としては英国のスタイルを踏襲しています。
これはジャケットのフロントカットの形状やベストの前丈の長さ、やや反り上がった肩先などから見て取れます。
生地は白無地でベストや裾まわりの雰囲気から結構重ためで目付のしっかりとした生地だと予想します。
フロントはシングルの2つ釦とかなり一般的。
襟はノッチドラペルでゴージラインはやや高め。
腰ポケットは水平の標準仕様でベントはサイドベンツ。
ここまでは標準的なスーツのデザインですが、ある一点だけ変わっていました。
それが袖釦です。
鳴海壮吉のスーツの袖釦は3つと数は普通ですが釦の間隔がかなり広く、釦同士が1~2cmほど離れています。正直ここにどんな意図があるのかは読み取れませんでした。
ただ、あの鳴海壮吉なら狙ってこの仕様にしているのではないかと考えさせるようなキャラクターです。
スラックスはノータックですが、この時代にしては珍しく股上が深めにしてあります。
裾口は見づらいですがシングル。
ベストは襟付きのシングル。
画像のようにジャケットを脱いでも品格が保たれるデザインです。
仮面ライダーWの続編である風都探偵のアニメ版では、襟なしのシングルを着用していました。
これは描写のブレというより同じ生地のデザイン違いを複数着持っていると考えるほうがしっくりきます。
ワイシャツに関しては登場シーンによってはワインレッドも来ていますが基本的には黒シャツです。
衿型はやや狭めのレギュラー~セミワイドくらいでしょうか。
前立てが映っているシーンはなかったのですが、スーツが英国調なので表で良いかと思います。
カフスはやや特殊なデザインです。
形自体は角落と呼ばれる斜めに切り落とされたデザインなのですが、通常この形状は釦ホールと釦で止めるのが一般的です。
鳴海壮吉の場合、カフスには釦ホールしかなくカフリンクスと呼ばれる留め具が必要となる紳士のアイテムです。
こんなところからも鳴海壮吉のこだわりが見えます。
また、鳴海壮吉はベルトでトラウザーズを履いていてその色はブラウンです。
スーツとシャツがモノトーンなのでここにワンポイントで色を入れるのはとても良いバランスだと思います。
サイズ感は基本的にはジャストサイズです。
探偵業でかなり動き回ることを想定して適度にゆとりをつくって可動域を制限しないようにしています。
ジャケットの着丈はやや長めで総丈の半分ほど。
トラウザーズの丈もかなり長めにして大人の余裕を感じさせます。
膝を少し絞ってフレア気味にしてエレガントなシルエットに仕上がりに。
自分の体型をより良く見せるサイズ感をしっかりと理解しているようです。
鳴海壮吉のように普段の仕事に着るにはハードルが高いですが、例えば成人式には全く問題ありません。
或いは自身の結婚式の二次会など着れるシーンは限られますが、探せばいくらでも見つかります。
私服として一日くらい着ても問題ないでしょう。
ぜひご検討ください。
札幌パルコ店 鈴木(晴)



