こんにちは。
鈴木(晴)です。
コンジット・カットというスタイルをご存知でしょうか。
恐らくよほどスーツに詳しい人でもない限りは聞いたことがない思います。
あるいはイギリスについて詳しい方でしたら聞き覚えくらいはあるかもしれません。
イタリアから始まり英国の考えと融合したスタイル、コンジット・カットについて解説します。
コンジット・カットとは
コンジットというのはロンドンにある道の名前です。
ロンドンの高級テーラーが集まるサヴィル・ロウという通りは有名かと思います。
そこに隣接するメイフェア・コンジット通りも実は高級テーラーが集まっていて、そのコンジット通りで仕立てられるスタイルのことを総称してコンジット・カットと呼びます。
有名どころでいくと、アンソニー・シンクレア、シリル・キャッスルなどが挙げられ、どちらもあの007のスーツを手掛けています。

(引用:https://en.wikipedia.org/wiki/Conduit_Street)
コンジット・カットの特徴
1960年頃、イタリアのゼニアというブランドの生地が販売数・品質が世界一となったことで英国内でイタリア系スーツに対する見直しが行われました。
その流れから、イタリアやフランス雰囲気を取り入れられているのが特徴です。
名前の由来は英国ですが、元は南イタリアのナポリスタイルでよく使用されているスタイルです。
最も有名なのが、『エクステンドダーツ』です。
スーツのジャケットにはフロントダーツと呼ばれる絞りを効かせた縫い目が入っています。
これはバストからウエストのシェイプをより強調できるよう考案されたもので、アメリカスタイルの様にボックスシルエットには入っていません。
このフロントダーツは腰ポケットまで入るのが一般的ですが、このエクステンドダーツは裾まで入っています。

これのメリットは裾周りのボリュームを抑え、スタイリッシュなシルエットを作ることができます。
逆に英国が好むアワーグラス(砂時計)のようなシルエットには不向きです。
そのため、ウエストもそこまで絞らずやや緩めのサイズで設定することが多いようです。
実は、『コンジット・カット』の特徴として共通しているのは、これだけです。
他のデザインはテーラー毎のハウスモデルとしての域を出ず、スタイルとして確立するには弱い部分です。
前述の通りイタリアスーツの流れを含んだスタイルなので、英国らしいハッキングポケット(スラント)やフロント3つ釦、ビルドアップショルダーといったディティールを取り入れていないというのが特徴と言えるかもしれません。
グローバルスタイルで用意している「カイザーモデル」は、コンジット・カットを取り入れたイタリアよりのモデルです。
中々見ることがないコンジット・カットを試してみてはいかがでしょうか。
札幌パルコ 鈴木(晴)



