スタイリストブログbyオーダースーツ専門店 Global Sytle

冬にそなえて【札幌パルコ】
2025.09.18 GINZAグローバルスタイル・コンフォート 札幌パルコ店
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こんにちは。

 

 

鈴木(晴)です。

 

 

北海道ではすでにホームセンターにストーブや除雪機が陳列され、本州より一足先に冬支度が始まっています。

まだまだ気温は汗ばむ日もあるほどですが。

 

グローバルスタイルでも冬に向けてコートの販売を開始いたしました。

今回はそんなコートについて説明します。

 

 

 

 

コートとは

 

そもそも普段私たちがコートと呼ぶものの正式名称は「オーバーコート」と言います。

私たちがジャケットと呼ぶものを当時「コート」と呼んでおり、その上に着用するという意味合いからです。

因みにジャケット(コート)の中に着るベストを「ウエストコート」と呼ぶのもそのためです。

 

コートにも様々な種類があります。

・チェスターコート

・アルスターコート

・ステンカラーコート

・トレンチコート

……etc

 

このように挙げればキリがない程様々な種類があり、その分類も参照する文献によって違いがあり収拾がつきません。

因みにモーニングコートやイブニングコートはオーバーコートではなくジャケット(コート)に分類されるので、上記のetcには入りません。

 

今回は弊社で用意してあり、且つフォーマル・カジュアルでも使用できる最初の一着にふさわしい「チェスターコート」を取り上げます。

 

 

チェスターフィールドコート

 

一般的にはチェスターコートと呼ばれることが多いですが、正式名称はチェスターフィールドコートといいます。

原型は19世紀中盤に登場し、イギリスの第六代チェスターフィールド伯爵が流行させたとしてその名前がついています。

 

その形はシングルブレステッドやダブルブレステッドのジャケットの身頃裾をそのまま膝丈~膝下丈にまで延ばしたウール系のロングコートです。

 

着丈が長めなのは、その時代の通常服であったモーニングコートやイブニングコートの上に羽織るオーバーコートとして考案されたためです。

それらが礼装に昇格するのに併せてこのコートもフォーマルシーンで着用できるオーバーコートとなりました。

 

シングルブレステッドの場合、下襟はノッチドラペルでフロント釦は3~4つ釦でフライフロント(比翼仕立て)にする場合が多いです。

一方、ダブルブレステッドでは下襟はピークドラペル。

フロント釦は第二次大戦前までは4つボタン2つ掛けも多かったのですが、最近はに6ボタン下2つ掛けが主流です。

 

腰ポケットは雨蓋のついたフラップポケットを地面と平行に配置するのが一般的です。

 

また、クラシックなチェスターフィールドコートは胸ポケットを付けないことが多いです。

モーニングやスーツの上から着用するアウターコートなので、胸ポケットが必要ないという思想だと私は考えています。

 

元々は防寒の機能、アウターとしての耐久性の観点でも優秀なツイード生地などで明るめの色で仕立てられることが多かったのですが、フォーマルウェアとして扱われだしてからは、ブラック・ネイビー・チャコールグレーなどダークトーンが多く用いられるようになりました。

 

生地はしっかりと厚く重みのある生地が使用され、目付でいえば400~700g辺りです。

その表面仕上げも紳士としてのエレガントさや華やかな品格が保てるよう丁寧に仕上げられていて、「暖かく美しい」生地がふさわしいと言えます。

 

英国ではチェスターコートを、上記のような生地の生産を得意としていたメーカーから名前を取って「クロンビー(Crombie)」と呼ぶこともあるとか。

 

 

冬に備えて

 

冬支度は早い方が良いと言われますが、どんなコートを用意すれば良いでしょうか。

私が勧めるのは、ネイビーのシングル or ブラックのダブルです。

 

この二着のうちどちらかがあればもう困ることはありません。

 

あえて言うならば、ネイビーのシングルの方がフォーマル・カジュアル問わず着用しやすいというのがあります。

 

 

 

 

前述したシングルのフロント釦ですが、比翼仕立てにせず釦を見せる仕様にすればフォーマル度が下がるのでニットやタートルネックといった私服でも着用できるのが魅力です。

 

その場合、着丈は通常ヒザと同じくらいの長さに設定しますがそこから5~10cm程短くするとバランスが取れるかと思います。

 

ブラックのダブルは軍服由来という事もあり、上記のニット等に合わせるには不釣り合いだと感じます。

 

素材についてはウール、カシミアがよく使われます。

 

暖かさ、柔らかさでいうならカシミアが断トツですが、非常に繊細な生地です。

雪が降る地域では怖くて着て行けないというのが本音です。

 

ウールのツイル生地であればある程度の耐久性があり、ブランドによってはカシミアのような質感の仕上げをしているところもあります。

素材はそのまま、手触りや見た目はカシミアという生地です。

私が思いつくところではルイジ・コロンボがそういう生地を得意としています。

 

もしくはこの二つの素材を混紡したウール・カシミアも良く使われます。

 

これらの素材はカバンを背負ったり肩に掛けたりするには向いていませんが、そういったガシガシと使用したい方には同じウールですがツイード生地がお勧めです。

 

ツイードは厳しい寒さがあるスコットランドで生まれた生地で、狩猟や農作業などにも使われた生地です。

よくスーツを親から子へ、そして更にその子へと3代に渡って受け継ぐなどと言いますが、それは基本的にこのツイードで仕立てられたスーツを指します。

 

また、英国の上流階級を学びスーツ文化を日本に広めたことで有名な白洲次郎という方がいますが、その人には「ツイードなんてものは卸したてで着るようなものではなく、軒先に2,3年吊るしてから着るものだ」という有名な言葉があります。

本当に言ったのかは諸説ありますが……。

 

そんな逸話が残るほど頑丈なこのツイードであれば、英国と同じように親から子へと受け継ぐ立派なコートが出来ることでしょう。

 

私も名古屋ではコートは必要なかったですが、北海道に戻って来て仕立てる必要ができたのでダブルブレストのチェスターフィールドコートを仕立てます。

 

皆様も冬の寒さを凌ぐだけではなく、優雅に過ごせる一生物のコートを是非ご検討ください。

 

札幌パルコ 鈴木(晴)

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