スーツの色褪せ、長く着用していると気になることがあると思います。
お気に入りのスーツの変色に気づいた時は本当に悲しいものです。
「色褪せ」と聞くと、ジャケットの肩部分を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
日光が当たりやすい肩部分は、紫外線によるダメージが蓄積されやすく、変色しやすい箇所です。
紫外線を吸収しやすい青い色素分が解されるため、残った赤い色素が目立つ→赤っぽく色落ちしてしまいます。
しかし、ジャケットほど直射日光を浴びないはずのスラックスの太もも部分が色褪せてしまった、というお悩みもよく耳にします。

一体、なぜなのでしょうか?
スラックスの色褪せは「汗」が原因だった?
スラックスの色褪せは、「汗+紫外線」の組み合わせが主な原因です。
実は汗そのものに色を落とす力はありませんが、汗の成分が紫外線の作用を増幅させてしまうのです。
汗には主に塩分や尿素、アンモニアなどが含まれています。
これらの成分が繊維に染み込むと、染料分子を分解しやすい状態にしてしまいます。
汗がついた部分に紫外線が当たると、通常よりも化学反応が加速し、一気に色褪せが進んでしまうというわけです。
この現象は、摩擦と水分が重なって股ずれを起こしやすくするのと似ています。
どちらも複数の要因が重なって、特定の部位に症状が現れてしまうのです。
なぜ太ももに汗がたまるの?
では、なぜスラックスの太ももに汗がたまりやすいのでしょうか?
無意識な手汗の付着
デスクワーク中や休憩中など、気づかないうちに手を太ももに置いていることはありませんか?
その手についている汗がちりつもで、スラックスに染み込んでしまうことがあります。
仕事中はストレスにより手汗も分泌されやすいですし、夏の季節はなおのこと!
夏場の全体的な発汗
暑い季節は、全身から汗をかきます。下半身も例外ではなく、その汗がスラックスの太もも部分に染み出してしまいます。
このように、汗が染み込みやすい太もも部分に、日中の紫外線が当たることで、スラックスは知らず知らずのうちに変色していくのです。
徹底対策!スーツの寿命を延ばす3つの習慣
せっかくのスーツ、少しでも長くきれいに着たいですよね。ここからは、スラックスの色褪せを防ぐための具体的な対策をご紹介します。
1. 日常のちょっとした工夫
ハンカチで手汗を拭く習慣をつける
ハンカチでこまめに手汗を拭き、スラックスへの付着を防ぎましょう。
特に夏の屋外はどうしたって汗が噴き出してきます。額をぬぐったついでに手もしっかり乾かしましょう。
ステテコを履く
スラックスの下にステテコを履くことで、太ももから出る汗を生地に直接染み込ませずに吸収させましょう。
伸縮性のあるステテコだと、座る・しゃがむ動きでつっぱらないため、ステテコなしの状態よりも確実に動きやすいと思います。
※最初は違和感あるかもしれませんが。
2. 定期的なメンテナンス
汗抜きクリーニングに出す
通常のクリーニング=ドライクリーニングでは汗の成分は落ちにくいです。
汗抜きクリーニング(ウェットクリーニング)で、生地に染み込んだ汗をしっかり除去してもらいましょう。
スチームアイロンをかける
汗抜きクリーニングほどではありませんが、スチームが汗の成分を吸着し、外へ追い出す効果が期待できます。
また、消臭効果もあるのでやっておきましょう。
3. 正しい着用と保管
連続着用を避ける
スーツは1日着たら休ませて、湿気をしっかり抜きましょう。2〜3着をローテーションで着回すのが理想的です。
汗が完全に乾くと、ある程度の汗成分も一緒に揮発して、紫外線には強くなります。
個人的には真上を向くサーキュレーターを使って、スーツの下から風を送ると乾きずらい内側の湿気も飛んでくれやすいです。
クローゼットで保管
直射日光を避け、通気性の良い場所で保管しましょう。そもそも紫外線に当てない工夫ですね。
これらの対策を組み合わせることで、スラックスの色褪せを効果的に予防し、お気に入りのスーツをより長く愛用できます。
ぜひ、今日から実践してみてください!
立川髙島屋店 小松



