スタイリストブログbyオーダースーツ専門店 Global Sytle

Surgeon’s cuffs【名古屋広小路通り店】
2025.04.24 GINZAグローバルスタイル PREMIUM 名古屋広小路通り店
このエントリーをはてなブックマークに追加

こんにちは。

 

 

 

鈴木(晴)です。

 

長年慣習だったものが形骸化し、形だけが残るというのはよくある話です。

本切羽もその一つです。

 

今回は本切羽について深堀していきます。

 

(1846年12月21日 ロバート・リストンの外科手術の様子)

 

 

本切羽とは

 

本切羽とは英語で「Surgeon’s cuffs(サージェンス・カフス)」と言い、釦ホールが実際に切ってあり開け閉めできる仕様のことを言います。

一般的に袖丈は人体の中でも個人差の多い部位とされており、既製品で本切羽にすると袖丈の調整が効かなくなることから高級オーダースーツ(昔は安価なオーダースーツが存在しなかった為)の証とされてきました。

現代ではグローバルスタイルを始め様々な低価格のオーダースーツが出回り、本切羽の価値が下がってきたこともあって重要視する人は減ってきた印象です。

 

確かにこれ見よがしに釦を外してもわざとらしく。、かと言って何もしなければ持ち腐れになるので本切羽にする意味がないという感覚は理解できます。

 

 

だからこそ私はあえて本切羽にして、釦を開けないという行動をとっています。

 

 

 

本切羽の歴史

 

19世紀、社会的地位のある男性は立派なジャケットを着ない人はいませんでした。

これは外科医にも当てはまり、彼らは負傷者の手当てをするためにスーツとブーツを身につけて野外に出ました。

 

当時はシャツは下着という考えであった為、人前でジャケットを脱ぐというのは恥であるという感覚を持っていました。

現代の間隔で言えば、公衆の面前で衣服を脱ぎ棄て全裸になるようなものです。

 

そのため、ジャケットを着たままである彼らの袖や袖口は汚れてしまいます。

袖を内側に捲って処置を施していましたが、着心地が悪くすぐに落ちてしまうため、実用的ではありませんでした。

19世紀後半、サヴィル・ロウではこうした医師や外科医たちがジャケットの袖のボタンに動きやすさを考慮した機能的なボタンを要求し始めました。

そのため、袖口に機能的なボタンが付いたジャケットを今日では「Surgeon’s cuffs(外科医の袖口)」と呼ばれることが多いのです。

 

 

 

現代のサヴィル・ロウにおいて

 

本切羽の歴史と、なぜ高級仕様だと言われるのかは分かりました。

しかし、サヴィル・ロウではこの本切羽が取り入れられているのはごくわずかです。

 

その理由は、スーツの持つ重要な役割があったからです。

 

それは父から子へ、そして孫へを代々受け継いでいくというものです。

 

実際に釦が開閉できるように釦ホールを切ってしまえば、受け継いだ子孫が自身より大きく成長した際に袖が足りなくなってしまいます。

そこで考えられたのが全て釦ホールを開けるのではなく、例えば4つ釦であれば袖口側の2つだけ釦ホールを開け、肩側の2つは糸でかがるだけにするというものです。

そうすることで袖丈を伸ばしても肩側の釦を移動させればバランスが崩れずに済みます。

 

 

ただし、現代でスーツを受け継ぐような着方をしている人はほとんどいないと言っていいでしょう。

そのため伝統だけが現代まで引き継がれているのです。

 

例えばサヴィル・ロウで仕立てたスーツで本切羽を指定すると、基本的に肩側の1、2個を残しておく従来のスタイルで仕上がるそうです。

 

本来の個性とはそういった見えないこだわりの積み重ねでにじみ出るものだと私は思います。

目立たせるため、アピールするためではなく、個人的なこだわりとして本切羽を入れてみてはいかがでしょうか。

 

鈴木(晴)

新作入荷情報やお得なフェア情報をお知らせ!
このエントリーをはてなブックマークに追加

GINZAグローバルスタイル PREMIUM 名古屋広小路通り店の他の記事

2025.11.30

オーダージャケットも!【PREMIUM名古屋広小路通り店】

こんにちは。 PREMIUM名古屋広小路通り店の西川です。 ...

2025.11.30

オーダースーツのベントについて【名古屋広小路通り店】

皆さまこんにちは。 いつもブログご覧いただきありがとうございます。 本日はスーツのベントにつ ...

2025.11.30

私の一番好きな英国生地の秋冬オーダースーツ!【PREMIUM名古屋広小路通り店】

皆さま、こんにちは。 本日もブログをご覧いただき誠にありがとうございま ...

GINZAグローバルスタイル PREMIUM 名古屋広小路通り店に所属するスタイリストのブログです。スタイリスト目線からのアイテムの紹介やお客様のためになる情報を発信しております! おしゃれでリーズナブルなオーダーメイドスーツ・オーダーシャツの魅力を是非GINZAグローバルスタイル PREMIUM 名古屋広小路通り店で感じてみてください。 グローバルスタイル(Global Style)では、本格オーダースーツが1着2万円台~!約5,000種類の生地をリーズナブルな価格でご用意しております。東京都・神奈川県(横浜)・埼玉県(大宮)・千葉県・静岡県・愛知県(名古屋)・大阪府(梅田/なんば)・奈良県・京都府・兵庫県(神戸)・広島県・福岡県(天神/博多/北九州)・北海道(札幌)・宮城県(仙台)・熊本県など全国40店舗に展開。