スタイリストブログbyオーダースーツ専門店 Global Sytle

ウールの素材特性について
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2026.06.19 

皆さんこんにちは、GINZAグローバルスタイルディアモール大阪店の北邑です。
5月も終わりが近づいてきて6月の手前の時期で急激に暑くなりましたね。汗もたくさんかくようになりましたし、湿気でべたついて中々に不快感もあると。
そうなると春夏のスーツは一体どんなモノを選べばいいの?どんな生地がいいの?とお悩みの方も多くいらっしゃるのではないのでしょうか。

暑い時期でも比較的快適に過ごせる生地としてウールをおすすめしたいですね。ウールはまさに天然繊維の中でもオールシーズン対応可能な万能素材だからです。
ウールは秋冬用で春夏だと暑いのではと思われる方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、衣類に使用される生地、特にウールについて調査された非常に興味深い研究を見つけたので紹介いたします。

ウールの素材特性について、加藤勝蔵による研究論文「快適アパレル材料としてのウール-その構造と諸特性-」をもとに紐解いていく。論文では、ウールが単なる天然繊維ではなく、「快適性」と「機能性」を高度に両立した素材であることが、繊維構造・化学特性・着用性能の観点から体系的に論じられている。

まず、本論文ではウールの最大の特徴として、その複雑な繊維構造が挙げられている。ウールは羊毛由来の天然タンパク質繊維であり、その主成分はケラチンである。ウール繊維の表面はスケール(鱗片状組織)に覆われ、内部にはコルテックスやクリンプ構造が存在する。この立体的な構造によって、空気を多く含み、高い保温性と弾力性が生み出されると説明されている。特にクリンプ(縮れ)繊維間に空気層を形成し、断熱効果やクッション性に寄与するた、衣服内環境を快適に保つ重要な要素となっている。
                     出典:https://lohas-rug.com/rug-life/news/qa/wool-scale

また、ウールは化学的にはケラチンタンパク質から構成されており、このタンパク質構造が高い吸湿率を生み出している。論文内の吸湿率比較グラフでは、ウールはナイロンやポリエステルなどの合成繊維よりも著しく高い吸湿性能を示している。これはウールを構成するケラチン分子内に親水性官能基が多数存在するためであり、水蒸気を繊維内部へ取り込む能力が高いことに由来する。特に注目すべき点は、ウールが液体水ではなく水蒸気を吸収する「調湿繊維」である点である。
更に論文では、吸湿時に吸着熱が発生することにも触れている。水分子が繊維内部へ吸着される際にエネルギーが放出されるため、着用者は暖かさを感じる。つまり、ウールの保温性は単純ない断熱だけではなく、「吸湿発熱」という熱力学的作用によって支えられているのである。
この特性によって、低温環境だけではなく
加えて、論文ではウールの熱特性についても詳細に述べられている。ウールは熱伝導率が低く、外気温の影響を受けにくいため、寒冷環境では体温保持に優れ、反対に高温環境では過度な熱伝達を防ぐ働きを持つ。
つまり、ウールは「冬素材」としてだけではなく、温湿度調整機能を持つオールシーズン素材として評価できることが、この論文から読み取れる。
さらに、力学的特性についてもウールの優位性が示されている。ウールは天然繊維でありながら高い伸縮回復性を持ち、シワになりにくい。これは分子内のシスチン結合やらせん状分子構造によるものであり、外力によって変形しても元の形状に戻ろうとする性質が強いからである。そのため、衣服として使用した際は型崩れしにくく、美しいシルエットを維持しやすい素材であると考えられる。
一方で、本論文ではウールの弱点についても触れられている。例えば、摩擦や洗濯条件によってフェルト化が発生しやすい点や、虫害を受けやすい点などである。しかし、これらは加工技術や取り扱い方法によってある程度改善可能であり、現代では防縮加工や防虫加工によって実用性が高められている。
以上より、この論文を参照した結果、ウールは「天然繊維だから暖かい」という単純な素材ではなく、繊維構造・化学組成・物理特性が相互に関係することで、吸湿性、保温性、弾性、防しわ性、快適性を総合的に実現している高機能素材であるといえる。特に、人工的に完全再現することが難しい天然構造こそが、ウール特有の快適性の本質であり、現代においても高級衣料素材として評価され続ける理由である。

とまあ長々と書きましたが、要はウールはすべてのシーズンに対応できる超万能素材であるということです。
これからのスーツ選びは是非ウールを意識してみてはいかがでしょうか。

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